他社イメコン診断と結果が違ったとき、スタイリストはお客様にどう伝えるべきか?

 

こんにちは!
for*styleパーソナルスタイリストスクール(FPSS)代表の久野梨沙です。

 

他社イメコン診断と結果が違ったとき、スタイリストはお客様にどう伝えるべきか?

▲こちらは先日の、第11期生の全過程修了打ち上げの1枚。タイミング的に感染者数がかなり落ち着いていたので、久々の打ち上げ開催でした。マスク会食だったけど盛り上がった!

 

パーソナルスタイリングやイメージコンサルタントをやっていると、似合う服を知るための診断、いわゆる「イメコン診断」がメインサービスの一つになります。
このところ、この「イメコン診断」の認知度が飛躍的に高まったせいで、私たちは既に他社で診断を受けたことのあるお客様に対応することが多くなりました。

 

こうなってくると避けて通れないのが、お客様の「転生」。
「転生」とは主にSNS 上でよく使われているイメコン用語のようなもので、診断結果が変わってしまうことを指します。

「前にパーソナルカラー診断を受けたときはスプリングだったのに、今回他社でもう一度診断を受けたらサマーに転生した!!」

という感じに使われます。

 

この「転生」。原因としては、以下の2 つがあげられます。

1.前の診断が間違っていた
2.外見の変化により診断結果が変わった

イメコン診断の中でも、外見の変化によってタイプが変わり得るものとそうでないものがあります。

 

例えば、一般的に人間の色素は一生大きく変わることはないとされているため、色素を元に診断する「パーソナルカラー」は、外見の変化で診断結果が変わることは本来はありえません。
ですから、パーソナルカラー診断で転生が起こった場合には、基本的には1の原因しかない・・・つまり、前の診断が間違っていた、ということになります。

 

さて、こうした「転生」は当然、お客様にとってはかなり戸惑うもの。
ですから、パーソナルスタイリストやイメージコンサルタントとしては、その伝え方には相当慎重になる必要があります。
伝え方によっては、お客様から自分が信頼を失うばかりか、イメコン診断全体の信頼を失ってしまうことも・・・・・・。しかし逆に、ここでしっかりと対応できれば、お客様からの揺るぎない信頼にもつながります。
まさにお客様とのこれからの「岐路」に立たされる瞬間、といって良いでしょう。

 
そこで今回は、パーソナルスタイリストとして「以前と異なる診断結果になってしまったとき、どう対応すべきか」について解説していきます。

 

「イメコン診断履歴」の把握は大前提

 
そもそもお客様が「転生」したかどうかを把握するためには、お客様が過去にイメコン診断を受けたことがあるのか、あれば、どのような診断結果を伝えられているのかを知っていなければいけません。
 

もちろんそのお客様を過去に診断したのが自分であればその必要はないのですが、基本的にはイメコン診断は同じところで複数回やるようなものではないですよね。
ですからやはりお客様への確認は必須。

申し込みの際にお客様が自ら過去に診断したことがある旨を伝えて下されば良いのですが、多くのお客様は色々なサロンでイメコン診断を受けるということに若干の後ろめたさがあるのか、あまりご自身から積極的に話しては下さいません。
そういったことから考えると、直接口頭でヒアリングするよりも、事前にメールアンケートなどで伺っておいた方がお客様としても伝えやすいのではないかと思います。

 
・・・ん?
そもそもお客様にお目に掛かる前にアンケートを取っていない?
それはかなりマズいです。
ちゃんと作っておきましょうね。
 

セカンドオピニオンで自信をつけよう

 

他社イメコン診断と結果が違ったとき、スタイリストはお客様にどう伝えるべきか?
 

事前にお客様の過去の診断結果を確認してあったとして、いざ、自分が同じ診断をやったところ、どう考えても違う診断結果が出てしまったら・・・・・・。
そんな経験がある方は思い出せると思いますが、このシチュエーション、かなりドキドキするんですよね💦
 

ここはまずは落ち着いて、本当に自分の診断が正しいのか、改めて見直しましょう。
 

お客様にこれまでとは違う診断結果を伝えるということは、お客様の中での服選びの基準が大きく変わってしまうということ。
それはとてつもないインパクトですから、やはり慎重になる必要がありますよね。

とはいえ、自分の診断を無理に曲げて、前の診断結果に合わせては本末転倒です。
何度か見返しても、やはり自分の診断結果が正しいようであれば、そこはしっかりと自信を持ちましょう。
 

こういう時にセカンドオピニオンを得られる場所があると、とても心強いものです。
一般的にセカンドオピニオンとは医療の世界で使われる言葉で、

「患者自身が、医療的な診断の結果や、治療の内容などについて、現在のかかりつけとは違う医師に『第2の意見』を求めること」

を指しますが、ここでは、スタイリスト自身が、信頼できる別のスタイリストに意見を求めることを指します。
 

FPSSでは、修了生全員が入っているチャットがあるため、このような相談も簡単にできます。
「このお客様のパーソナルカラーが転生してしまったのですが、どう考えますか?」といった感じで、オンライン上で事例検討会をすることも。
多様な経験を持ったプロのスタイリスト陣が一堂に会している場で、何人かと答え合わせができれば、自分の診断結果にも確信が持てることでしょう。
 

・・・・・・ちなみに、こうした事例検討をするには、お客様と「自分以外の他者とお客様の写真を見せ合う可能性がある」ことの合意を取っておいて下さいね!
お客様の大事な個人情報ですから。

こうした個人情報の扱い方などを含んだ、契約書の取り交わしなども、実務レベルではとても大事な知識です。
FPSSの開業講座ではそのあたりもじっくりお教えしています。

 

お客様の利益につなげるためには、
伝え方が大事

 

ここまでで自分の診断結果に確信が持てたら、あとはお客様に伝える段階です。
 

しかし、イメコンに限ったことではないですが、どんなに正しい情報でも伝え方を誤ってしまったら、それは相手の利益になるどころか傷つける可能性すらあります。
伝える段階でこそ、より慎重になるべきです。

お客様の診断結果が前と変わってしまったとき、それを伝えるポイントは3つあります。
1つずつ解説していきますね。

 

①お客様はイメコン診断とどう付き合ってきた?

 
正しい診断結果を伝える前に、お客様が以前診断を受けた後、その結果をどう感じていたのか、また、実生活にどのように使っていたのかを確認しておきましょう。

私のお客様でも意外とよくいらっしゃるのが、

「診断を受けたんですが、その結果を服選びに活かしても、今ひとつしっくりこなくて・・・。なので、あまりその診断結果は活用できていないんです」

といったケース。
 

お客様はファッションのプロではありませんが、しかし、例えば本来似合わない色を「似合う」と診断されても、それを着てみればなんとなくしっくり来ないことくらいはわかるものです。
そもそもそれがきっかけで「なんかやっぱりおかしいから、もう1回別のところで診断受けてみるか」となった可能性大。
であれば、前とは違う診断結果を伝えられても困るどころか、「やっぱり!!!」とすっきりしてくれるでしょうから、こちらの伝えるプレッシャーも軽減しますよね。
 

しかし。
お客様が前の診断結果をすっかり信じていて、それを元にした服選びに既にメリットを感じている場合は大変です。
お客様は既に前の診断結果に基づいて洋服やコスメを買っているでしょうし、それらが「全部無駄ってこと・・・・・?!」と悲しまれるはずです。
この場合こそ、伝え方にかなり慎重になるべき。
ここで、次のポイントが重要になってきます。

 

②お客様は「変化への耐性」を持っている?

 

他社イメコン診断と結果が違ったとき、スタイリストはお客様にどう伝えるべきか?
 

もしお客様が、以前の診断結果を信じて生活していたら。
今回違う結果を伝えることで、お客様は大きな変化にさらされることになります。

こういった変化に対して、元々強い性格の人とそうでない人がいます。
そのあたりを把握しておくと、適切な伝え方を選べます。
 

このようなときに、FPSSでライセンス取得できる「服装心理診断」が大活躍します。服装心理の傾向によって、変化への耐性がよくわかりますので、それによって伝え方を変えることができるからです。
 

変化への耐性が最もよく表れるのが「規律性」の要素です。
ここが高い人は、一度自分の行動様式を決めたら、なかなかそこから離れるのが難しい人です。
無理に変えようとするとストレスを感じて、離れてしまう可能性大。
こういった場合には、極力服選びの基準を変えないでいける方法はないか?を考えた方が良いです。
具体的には次のステップで解説します。

逆に「規律性」の要素が低ければ、変化には強いです。
納得できさえすれば、柔軟に対応して頂けるはず。
 

ではどうなれば納得して頂けるか?
それがわかるのが、それ以外の服装心理診断の要素です。
 

「愛着性」が高いお客様であれば、仲良くなれれば納得してもらえます。
そのためにはスタイリストが心を開いてみせることが大事。
具体的には、「前と結果が変わってしまったので、お客様が戸惑うのではないかと心配」「でも私はあなたに正しい結果を知ってもらって、もっと素敵になってもらいたい」といったような、今の自分の気持ちを素直にお伝えすることです。
そんな感情のこもったやりとりが、このタイプのお客様には何より重要です。
 

「合理性」が高いお客様であれば、診断結果が変わった理由を筋道立てて解説を。
前の診断者が間違えてしまった理由を推測し、今回の診断結果が正しい根拠をちゃんと説明すれば、納得して頂けます。
 

「一般性」が高いお客様には、前の診断結果で、周りから浮かない格好ができていたかどうかを確認します。
一般性優位の人は、自分がそのファッションをどう思うかより、周りから浮かないか、のほうが大事。だから、新しい診断結果を活かした方が周りから浮かないファッションになりそうであれば、喜んで受け入れます。
私が担当したケースでは、「前はパーソナルカラーがスプリングと言われたけど、スプリングは鮮やかな色が多くて、職場で浮きそうだから困っていた。
今回サマーに変わったら、派手すぎない色が多くて、こちらの方が使いやすそうで嬉しい」と喜んで下さいました。
「新しい診断結果の方が、周りになじめる」と思っていただけるような伝え方を心がけましょう。
 

「独創性」が高いお客様は、変化には強いのですが、そもそも自分の気分や好みが最優先。
なので、どんな診断結果であろうと自分の好みに合わなければ取り入れようとは思いません。
ですから、前の診断結果と今回の診断結果とで、ファッションの方向としてはどちらが好みかを確認しましょう。
もし前の診断結果の方が好みなのであれば、どんな風に説得したところで、今回の診断結果で納得することはないと考えてもいいぐらい。
正しい診断結果を伝えることに固執するのではなく、お客様の好みのファッションを似合わせるために使う、と発想転換しましょう。
 

ちなみに、服装心理診断の簡易版はこちらで診断できます。
自分の性格傾向がわかると、また面白いと思いますよ!
 

③お客様の幸せに繋がる活用方法は?

 
お客様を戸惑わせずに正しい診断結果がお伝えできたら、次はその活用法です。
「そもそも論」になりますが、似合う服の診断はなぜするのか、といえば、「お客様がおしゃれを幸せに楽しめるようになるため」に尽きます。

 
だから、いくらその診断結果が正しかったとしても、それを正攻法でファッションに使った結果、お客様の幸せに繋がらないようであれば、そんな診断結果はブン投げておいたほうがよいわけです(ここまでの解説は一体・・・・・・😂😂)。

「間違った診断結果を信じていたときの方が、自分の好きなファッションができていた」とお客様に思わせないように、精一杯の活用方法を考えましょう。
 

例えば、「パーソナルカラーがウインターの方が好みだったのに、本当はスプリングって言われた!」というお客様には、ウインターのどこが好みだったのかをしっかりとヒアリングし、スプリングでもそのイメージは実現できることを伝えます。
 

ここで重要になってくるのは、「どんなタイプでも、あらゆるイメージを表現できるようになっておくこと」。
実際に、スプリングのカラーしか使わなくても、ウインターのようなシャープでカッコイイ着こなしは作れるわけです。
 

スタイリストは、診断よりむしろ、こうした「ファッションでのイメージ構築」が本職です。
診断しかできないスタイリストになってしまうと、これができませんので要注意⚠︎

 

診断を本当に活かすには
心理学も含めた幅広い知識が必要

 

他社イメコン診断と結果が違ったとき、スタイリストはお客様にどう伝えるべきか?
 

ここまでの長文をしっかり読んでくださったあなたは、もうお気づきでしょう。
そう、ファッションでお客様の幸せを作ろうと思ったら、イメコン診断ができるだけでは全く不十分、ということ。

お客様とファッションとの心地よい付き合い方は、そのお客様の生活環境や性格によって大きく異なります。

ファッションはお客様の幸せを彩るツールで、さらに「似合うかどうか」もその中の一つの要素に過ぎません。
ファッションをどう使っていくのかを総合的に考えて判断できる力、そしてそれを実現できるスタリングスキルこそが、パーソナルスタイリストやイメコンに求められている力です。
 

FPSSのカリキュラムが、診断だけを学ぶスクールより長いのはここに理由があります。
深い学びの先に、お客様と長くお付き合いできるスタイリストとしての未来が待っていますよ!
 

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執筆者プロフィール

久野 梨沙
久野 梨沙for*styleパーソナルスタイリストスクール代表
株式会社フォースタイル 代表取締役社長/一般社団法日本服装心理学協会 代表理事/公認心理師

服装心理学®に基づくパーソナルスタイリングの第⼀人者。大学で心理学を研究した後、大手アパレルメーカーの企画職を経てスタイリストに。社団法人日本服装心理学協会の代表として、装いが人の心に与える影響を研究する「服装心理学®」の啓蒙活動にも尽力。自己肯定感を高めるファッションカウンセリングや、服装を用いた印象コントロールに定評がある。著書に「最高にしっくり似合う服選び」(学研プラス)など。
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