スタイリストやイメコンのファッションの知識だけでは、お客様の悩みを解決できない理由

スタイリストやイメコンのファッションの知識だけでは、お客様の悩みを解決できない理由

 

 

こんにちは!
for*styleパーソナルスタイリストスクール(FPSS)代表の久野梨沙です。

 

 

人間の悩みの理由の本質をついた、こんなセリフ

 

相変わらず、NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にハマっております。
で、先日おそらく1回限りのゲストだと思うんですが、大竹しのぶさんが出ていらして。素晴らしい演技に圧倒されました。

 

しかし演技もさることながら、一つのセリフにとても感銘を受けたのです。
引用させて頂きますと、こんなセリフでした。

 

お前の悩みはどんなものであっても、それはお前1人の悩みではない。遙か昔から、同じことで悩んできた者がいることを忘れるな。
この先も、お前と同じことで悩むことを悩むものがいることを忘れるな。お前1人ではないんだ、決して。

 

このセリフの背景を少しご説明しますと。

源頼家の失脚後、わずか12歳で将軍に就任した源実朝は、後鳥羽上皇の従妹を妻に迎えることになるんですが、これはもちろん自分の意志ではないわけですね。
そのことに戸惑い、思い悩み、しかしその悩みも口には出せない…という状態でたまたま出会った占い師である巫女に、このような言葉をかけられたのです。

そして涙を流す、と。

 

このあと実朝は和歌に自身の悩みをのせて歌人としての才能を発揮するようになり、後世にまで詠み継がれることになるわけですが、そのきっかけとも思えるようなセリフでした。

 

しかし、この登場人物は史実にはいないので、脚本家である三谷幸喜さんのメッセージが強く込められたセリフなんだろうなと思うわけです。

さらに言うと、文学や映画、ドラマなどのコンテンツを作る人すべてが共感するメッセージだろうし、そしてまた、私が読書によって救われてきた理由でもあるな、と。

 

やはり人間って
「そういう悩みを持っていても何もおかしいことじゃないんだよ」
「そういう考え方をしていてもいいんだよ」
という、肯定が欲しいんですよね。自分の悩みや考えを、認めてもらいたい。

 

他の人が自分と同じ悩みを持っているからといって、自分の悩みが解決されるわけではないけれど。
でもそれを知ると「そういう悩みを持つことはおかしいことじゃない」と思えて、肯定されたように感じ、心が救われるんです。

 

そしてそれはまた、心理カウンセリングで、私たちの気持ちが救われる理由でもあります。
カウンセリングでは、「無条件の肯定的関心」がカウンセラーから向けられます。どんな話をしても否定されず、その話や背景に肯定的な関心を持って聞いてもらえる。

それだけで、悩み自体がたとえ解決されなくても、心は軽くなります。

 

 

具体的なアドバイスより「ただ聴くこと」のほうが効果的なおしゃれの悩みも多い

 

もちろんこれは心理的な悩みに限らず、ファッションでの悩みでも同じこと。

 

例えば
「私ももうママになって家事や育児に没頭しなきゃいけないのに、これまでのようにおしゃれできないことを悲しく感じるなんてダメなんじゃないか」
とか
「もういい年なのに、いつまでもかわいらしい服を着たいと思うなんておかしいんじゃないか」
とか
「おしゃれなショップに入るのに緊張しちゃってどうしても入れないのって、おかしいんじゃないか」
とか。

 

そんな悩み自体というより、「こんなことで悩んでるの自分だけじゃないか」って抑え込むことで苦しくなっている人、とても多いです。
だから、そういう悩みはプロのスタイリストやイメージコンサルタントから「わかりますよ、ありますよね、そういう悩み」って肯定されるだけで、すとん、と苦しみが抜けるんです。

 

肯定されたところで、例えば子供が小さくて思うようにおしゃれできない、みたいな状況が変わるわけではないけど、
「くそーーー好きな服着たいなーーー!子がもう少し大きくなったら着てやるーーーー!」
って明るく考えられるようになる。自分の思いが許せる。それで全然変わります。

 

私の体感では、うちにいらっしゃるお客様の半数以上が、こうした「悩みの受け止め」をされるだけで、だいぶ気持ちが軽くなってほぼ解決、という感じになります。

 

 

なぜ「ただ、聴く」ことができないスタイリストやイメコンが多いのか

 

しかし、パーソナルスタイリストとかイメコンとかっていう仕事をするとき、とにかくお客様の悩みに対して何か明確な解決策や答えを提示しなきゃいけないんだ、と焦ってしまう人も多いものです。
お客様からお金を頂いている以上、イメコン診断とか、コーディネートノウハウの提供とか、お薦め商品の情報とか、そういったわかりやすい成果物をお渡ししなければいけないんじゃないか、と。

 

でも、その前にじっくりお悩みを伺うだけで解決できることもある。

逆に、焦ってスタイリストやイメコン側がイメコン診断したり何かアドバイスをしたりしたことで、お客様のモヤモヤが強まったり悩みが深まってしまうことすらあります。
それは、「悩みを受け止める」だけって、実は結構技術が必要で難しいことだから。心理カウンセラーが何年もかけて勉強する技術ですから、当然のことではあるんですが……。

 

もちろん、似合う服の選び方とか、服のコーディネート方法だとか、ブランドの情報だとか、そういう知識を提供することで解決される悩みもあります。

だからスタイリストやイメコンにファッションの知識が必要なことは大前提なんですが、でも悩みを受け止める、という心理カウンセラー的な技術も絶対必要。ファッションと心は密接に関わっていますから。

 

そして、さらに重要なのは、「自分に必要なのはファッションの知識か、それとも悩みをただ聞いてもらうことなのか」お客様が自分で判断することはできない、ということです。

病院に行く前に、自分の体のどこが悪くて何をすれば治るのか正確にわかる患者がいないのと同じこと。それは、サービスを提供するスタイリスト側が判断して、そして最適な方法を提供しなければいけないんです。

でもまだまだ、心理カウンセラー並みに話を聴いて受け止めることができるスタイリストやイメコンは少ないです。
そういうスタイリストが増えれば、多くの文学や映画、ドラマが人々の心を救ってきたように、ファッションももっと多くの人の心を救えるようになるのに。

 

もう人々が、背伸びをして着飾るためには服を選ばなくなった今。
これからのファッションの役割は、自分の心を楽しませたり、癒やすことだと思うんです。
だから、おしゃれの悩みを受け止めて、逆に心を癒やすようなファッションの使い方を教えられるスタイリストをもっともっと増やしたい。

これが、FPSSで私が服装心理学をみっちりお教えしている理由です。

 

 

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執筆者プロフィール

久野 梨沙
久野 梨沙for*styleパーソナルスタイリストスクール代表
株式会社フォースタイル 代表取締役社長/一般社団法日本服装心理学協会 代表理事/公認心理師

服装心理学®に基づくパーソナルスタイリングの第⼀人者。大学で心理学を研究した後、大手アパレルメーカーの企画職を経てスタイリストに。社団法人日本服装心理学協会の代表として、装いが人の心に与える影響を研究する「服装心理学®」の啓蒙活動にも尽力。自己肯定感を高めるファッションカウンセリングや、服装を用いた印象コントロールに定評がある。著書に「最高にしっくり似合う服選び」(学研プラス)など。
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