初の「洋服廃棄禁止令」!SDGsの時代にパーソナルスタイリストが求められること

 

こんばんは!
for*styleパーソナルスタイリストスクール(FPSS)代表の久野梨沙です。

 

我々のパーソナルスタイリストやイメージコンサルタントという仕事は、お客様に寄り添って仕事をしていくために、その時代の移り変わりによって、存在意義や役割、求められることも変わっていきます。
そのため、消費者の気分の変化やアパレル業界の動向にも、敏感になっておく必要があります。
先日も、ファッションの先進国であるフランスで、この1月から売れ残った新品の衣類の廃棄を禁止する規制が始まった、というニュースがありました。

特にアパレル業界向けに書かれた記事ではないので、TwitterなどのSNSでもこのニュースを読んだ人たちの様々な反応が見られましたが、その中でも売れ残った洋服を焼却や埋め立て処分していることに驚きの声を上げている人も結構いました。
売れ残った服を最終的に捨てているなんて、確かに初めて聞いたとすれば結構衝撃かもしれません。

 

 

売れ残ってしまった服、日本ではどうしているのか知っていますか?

 

「言われてみれば、売れ残った服が最終的にどうなるのか、考えたこともなかった・・・・・・」

そんな人も多いでしょう。

 

私は元々パーソナルスタイリストとして独立する前は、オンワード樫山とリーバイスの2社で、商品企画や在庫コントロールの仕事をやっていました。

両者とも、まさに売れ残らないようにする責務を追った職種だったわけです。

 

売れ残りを出すということは、損を出すということ。利益が落ちてしまうわけですから、何とかして売ろうと、それはそれは腐心します。

まずは店頭でセールをして割引販売し、その上でも売れなければさらに値段を下げてアウトレット店舗へ持っていき、販売。
それでもまだ残れば、ファミリーセールをやって、原価すれすれ・・・時には原価割れの価格でたたき売ります。

 

それでも、それでも。
どうしても売れ残ってしまうものはあります。0にはできません。
じゃあどうするかというと、やはり最終的には焼却処分や埋め立て処分しかないんです。

 

上で紹介した記事に、「ゴミにしちゃうくらいなら、どこかに寄付すれば良いのに」というリアクションがついているのも見かけましたが、もう寄付はずいぶん前からたくさんのメーカーがしています。
寄付しすぎて、むしろ寄付先に断られてしまうくらいなんです。そんなに服ばっかりいらないよ、と。

 

それに服ってサイズの問題もあるし、寄付される側にだって好みはありますよね? 生活環境によって着られるものだって限られます。

何でもかんでも送ってこられちゃ困る、というのもごもっともです。

そうなると、やっぱり残った物は単なるゴミとして処分しかなくなるわけで。

 

 

そもそもなぜ余るほど服を作ってしまうのか

 

初の「洋服廃棄禁止令」!SDGsの時代にパーソナルスタイリストが求められること

 

とすると、次はこういう疑問が浮かびますよね。
そんなに作らなければいいでしょ、と。

 

服の需要に対して供給が上回りすぎている、という構造は確かにあります。

 

その原因としてはやはり少子化が大きいんですよね。
数年前に、「ブーツの売上が全盛期の1990年代の半分になってる!」ってニュースがあったんですが、別にこれ、皆がブーツ離れしたんでもなんでもなくて、単純にブーツをよく買う若い人口が半分になってるだけだったんですよ・・・ぞっとしますよね・・・💦💦

 

それでも、ほとんどのアパレルメーカーが「前年よりも高い売上を!」ということを目標にしています。

売上を常に右肩上がりにしていかなきゃいけない。

それにはその売上を作れるだけの商品を作らなければいけない、ということになります。
もはや、そんなに人口もいないのに・・・・・・。

 

こうした「売上至上主義」を脱却するにはどうするか。
売上ではなく利益を重視していく必要があります。
いくら売上が上がっても、その裏でたくさんの洋服を廃棄していれば、利益は落ちてしまいます。

逆に、売上を下げてもいいから、廃棄を減らすことで利益を出していこうという考え方にチェンジすればいいわけです。

これが上手く行けば、従業員を養っていける。

 

ただ当然、利益を上げようとするには、生産数を減らすだけでは難しくて、洋服の1点当たりの価格を上げることも同時にやらないと厳しいです。
大量生産大量消費をやめて、必要なだけ生産してそれでやっていけるだけの洋服の価格に変える、ということです。
これであれば雇用も守れて、ゴミも減らせる。

地球にも人間にも優しい!!

 

・・・って、アパレルメーカー側から見るとハッピーエンド。
でも消費者側から見ると、これって、「洋服の全体的な値上げ」になりますよね。

 

 

洋服が余らないようにすると、私たちに起こること

 

日本でフランスのような「洋服廃棄禁止令」がすぐに出されるとは思いませんが、世界的にSDGsへの取り組みが叫ばれている中、廃棄が多い業界であるアパレル業界は、特に目をつけられています。

 

日本でも、洋服の価格を上げて生産数を下げていく方向に舵を切るしかなくなっていくでしょう。
コロナ禍の影響で物流コストもかさみ、原材料も高騰していることも追い風となって、しまむらや無印良品(良品計画)は既に、次の秋冬商品から商品価格の見直しをすると匂わせているよう。

 

大量生産・大量消費は、洋服の1点当たりの価格が下がって、安くて良い物が買えるという消費者のメリットを支えていました。
結局の所、洋服の価格が上がっていくことを消費者として受け入れていかなければ、洋服の廃棄を減らすことは難しいということなんですよね。

 

 

そんなこれからの時代に、パーソナルスタイリストに求められること

 

初の「洋服廃棄禁止令」!SDGsの時代にパーソナルスタイリストが求められること

 

そんな話を、私のPodcastでしたところ、「価格が上がっても、好きなブランドを支えていきます!」「価格が上がるのは、環境を考えたらやむなし」という反応が思いのほか多くて驚きました。

時代は変わってきたな、と感じました。

 

とはいえ、30年間給与水準が上がっていない、この日本。
ただ洋服の価格が上がるだけだったら、ますますおしゃれを難しく感じてしまう人が増えてしまうでしょう。

 

だからこそ、これからのパーソナルスタイリストには、「楽しさ」というおしゃれの感情面でのメリットを伝えると同時に、限られた予算を効率よく使って洋服の購入をアドバイスする数値的な能力も求められます。

 

単に安い服をお勧めするのではなく、そのお客様の生活に見合った価値のある服を、適正な価格で買えるようにアドバイスすること。
それには、そのお客様は服を何枚持っていればよいのかというワードローブ管理の技術や、価格ではなく服を見てその価値を判断する目が必要です。

 

難しく感じますか? だからこそ、プロが必要とされるんです。
これから、服の買い物がますます難しくなる。だからこそ、パーソナルスタイリストは求められます。

 

単に似合う服やトレンドを教えるだけじゃない、お客様のクローゼットと服飾費全てを任せられるようなスタイリストは、まだまだ足りていません。
FPSSでは、数値能力や服の価値を見る目を養うカリキュラムで、そんなスタイリストをどんどん輩出していけるよう尽力しています。

 

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執筆者プロフィール

久野 梨沙
久野 梨沙for*styleパーソナルスタイリストスクール代表
株式会社フォースタイル 代表取締役社長/一般社団法日本服装心理学協会 代表理事/公認心理師

服装心理学®に基づくパーソナルスタイリングの第⼀人者。大学で心理学を研究した後、大手アパレルメーカーの企画職を経てスタイリストに。社団法人日本服装心理学協会の代表として、装いが人の心に与える影響を研究する「服装心理学®」の啓蒙活動にも尽力。自己肯定感を高めるファッションカウンセリングや、服装を用いた印象コントロールに定評がある。著書に「最高にしっくり似合う服選び」(学研プラス)など。
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