なぜ「ときめく片付け」が服だとうまくいかないの?「ものを持たない暮らし」に憧れる人が増えています。
一昔前では、高いもの・ブランド物をたくさん持っている人が憧れの対象でしたが、そんな大量消費時代の反動でしょうか、雑誌などのメディアでも、厳選された最小限のものに囲まれて暮らす人が「理想のライフスタイル」として紹介されるようになりました。
そんな風潮は、2010年に「断捨離」が流行語大賞をとったことがきっかけでさらに強まったように感じます。
さて、家の中でも場所を取るものの代表格が、洋服です。だからこそ、憧れのシンプルライフへ近づくための片付けを始めるとき、まず洋服から手をつけようと思う人が多いようです。
しかし、様々な片付け術・収納術の本やブログを読んで知識をつけたにも関わらず、洋服の片付けを始めた途端に挫折してしまい、私の元へご相談に来る方が後を絶ちません。

私は2006年から、パーソナルスタイリストとして個人のお客様のファッションアドバイスを行っていますが、似合う洋服が知りたいというだけでなく、服をどう片付ければよいのかわからないというご相談は当初から非常にたくさんいただいていました。というのも、服の揃え方や収納術というのは、キッチン用品やこまごました日常用品とはまったく異なるコツが必要になるからです。また、持っている服の種類によっても適した片付け方は異なります。

しかし、整理収納に関連する本やブログでは、服の片付けの個人差に関する言及はありません。たとえば、誰もが知りたい「服は何枚くらい持っているべきなの?」という疑問に対しても「最適な枚数は個人の環境によって異なります」と書かれているものばかり。かくして、服に関しては結局「なんとなく」の整理整頓しかできなくなってしまうのです。

なぜ「ときめく片付け」が服だとうまくいかないの?また、このところ非常に多いのが、「ときめく・ときめかない」の基準で服を整理してしまった方からのご相談です。

人気になった片付け本の影響で、ものに感じる愛着を「ときめく」と表現し、ときめかないものは処分するという整理収納方法を実践している人が増えています。しかしこの方法、服の整理収納で使ってしまうと失敗してしまうことが多いのです。

ある人は、ときめく服だけを手元に残し、後はすべて処分してしまったところ、会社に着ていけるような服がほんのわずかになってしまい、わずか2〜3パターンのコーディネートでなんとかしのぐ日々だとご相談下さいました。
またある人は、ときめく服だけでも十分枚数があるにも関わらず、なぜかコーディネートがまったく作れなくなってしまったと言います。組み合わせられないものばかりで、結局着られるのはいつも同じ組み合わせ。そのため、その組み合わせにときめきが感じられなくなってきてしまったそうなのです。

なぜ、他のものは「ときめくかときめかないか」で片付けをしてもうまくいくのに、洋服だけはそうではないのでしょうか?それは、洋服が他の生活用品とは違い、1点では成立しないという特殊な性質を持った「モノ」だからです。

では次の記事で、洋服で「ときめく片付け」をしてしまったときに陥りやすい失敗についてもう少し詳しく解説していきましょう。
文/スタイリスト・服装心理カウンセラー 久野梨沙 (株式会社フォースタイル) 
久野 梨沙

執筆者
久野 梨沙(ひさの りさ)

パーソナルスタイリスト / 服装心理カウンセラー。( 社 )日本服装心理 学協会代表理事。服装心理学に基づくスタイリングの第一人者。大学 で認知心理学を研究した後、大手アパレルメーカーでの商品企画職を 経て個人向けスタイリストに。1 万件に上るスタイリング実績を元に、 精度の高いイメージコントロールをすることで定評がある。