整理収納の前に知っておきたい、ときめかない服も必要な理由前回の記事では、家の中のものを減らしたいと思う人が増えていること、そして人気の片付け本の影響を受けて洋服を処分した人が、コーディネートがうまくできなくなってしまうケースが多いことをお話ししました。
他の生活用品では「ときめく」「ときめかない」で処分するか否かを判断しても問題はなかったのに、なぜ服では失敗してしまうのでしょうか。
それは、洋服が1点では成立しないという特殊な性質を持った「モノ」だからです。

たとえば、あなたにとってのときめく服が、華やかな色柄モノだったとしたらどうでしょうか?持っていたシンプルな無地のカットソーや黒のなんでもないパンツ、Vネックの定番カーディガンを見つめて、「これは地味だからあんまり好きじゃないんだよなぁ」なんて処分してしまうかもしれません。
手元に残るのは、カラフルなアイテムたち。しばらくはクローゼットを開ける度にうきうきして、片付けの成功を確信するかもしれません。

でも、いざ洋服を着てどこかに行こうとすると、気づくはずです。着ていくものがない、ということに!

目の前には好きな洋服ばかりたくさんあるはずなのに、着られるものがない・・・・・・。それもそのはず、花柄のブラウスと鮮やかな幾何学模様のスカートは組み合わせられません。柄と柄同士の組み合わせは、ほとんどの場合「派手すぎてとてもじゃないけど着られない」のです。
そうなってようやく、「ときめかないから」と処分してしまった無地でシンプルなアイテムの重要性に気づくことでしょう。
整理収納の前に知っておきたい、ときめかない服も必要な理由華やかな色柄が好みの人にとっては、シンプルなアイテムは、それ単体ではどうにも魅力を感じにくいものです。でも、そんなアイテムこそが、華やかな主役アイテムのコーディネートのベースを作ってくれるのです。
シンプルな無地のアイテムがないクローゼットは、重ーーいメインディッシュばかり集めたディナーのよう。おいしいものばかりで天国かと思いきや、いざ手をつけ始めると胸焼けがしてしまって食べ合わせの悪いものばかりなのです。

同じような経緯でクローゼットの中に黒いアイテムばかりが残ってしまった人、ボーダー柄のアイテムばかり残ってしまった人、スカートばかり残ってトップスがほとんどなくなってしまった人・・・・・・などなど、手元に残るアイテムの傾向は人それぞれですが、感覚的な片付けでコーディネートが組めなくなってしまう人は後を絶ちません。

このような事態を防ぐ方法はただ一つ。
洋服を「ときめくかときめかないか」で処分判断したいなら、それ単体で判断するのではなく、その洋服を良く着ているコーディネートで判断することです。ときめいてどうにも捨てたくないアイテムがあるのなら、そのアイテムを活かしてくれるコーディネートアイテムも同じくらいときめくものとして扱うこと。そうすれば、ときめく洋服を着るためにまた新たなアイテムを買い足さなければいけない・・・・・・という事態を避けることができるはずです。
さて次の記事からは、いよいよ片付け! の前にやっておきたいワードローブの分析についてお話ししていきます。
文/スタイリスト・服装心理カウンセラー 久野梨沙 (株式会社フォースタイル) 
久野 梨沙

執筆者
久野 梨沙(ひさの りさ)

パーソナルスタイリスト / 服装心理カウンセラー。( 社 )日本服装心理 学協会代表理事。服装心理学に基づくスタイリングの第一人者。大学 で認知心理学を研究した後、大手アパレルメーカーでの商品企画職を 経て個人向けスタイリストに。1 万件に上るスタイリング実績を元に、 精度の高いイメージコントロールをすることで定評がある。