そもそも「コンプレックス」って何?

容姿へのコンプレックスとおしゃれの関係性 「コンプレックス」とは本来心理学用語で「複合感情」を意味し、無意識の中に抑圧されつつも行動に影響を及ぼす様々な感情のことを指すのですが、日常生活の中で使われる場合には「劣等感」を意味することが多いでしょう。

「劣等感」は、誰かと自分を比べて「劣っている」と感じることですから、比べやすいことが原因になりやすいものとなります。
学生時代であれば勉強の成績やスポーツの成績、社会人になってからは仕事での業績や職種、業種。年収などは数字なので成績同様、比較がしやすく劣等感の原因になりがちですね。

そして、容姿です。成績や年収などは開示されなければわかりませんが、容姿は誰の目にもつくものだからこそ、ごく幼い頃からコンプレックスの原因にもなり得るものです。
たとえば、遊びの中で自分だけ仲間はずれにされてしまったとき。先生が自分ではなく、隣の席のあの子ばかりをひいきしているように感じたとき。好きだった人が、自分ではない人を好きだと知ったとき。
そんな「自分は劣っているのではないか」と感じる出来事が起こったとき、人はその理由をわかりやすい外見に求めてしまうことも多いものです。たとえば「私がもっとかわいかったら」という風に……。

容姿コンプレックスのおしゃれへの影響は両極端

容姿へのコンプレックスとおしゃれの関係性容姿コンプレックスを抱えてしまったとき、取る行動は両極端になりがちです。
一方は、なんとかその外見をカバーしようと、おしゃれや髪型、女性であればメイクやエステに力を注ぐようになります。自分の中に生まれた大きな穴を埋めるように、ひたすらにそれらにお金をつぎ込んでしまう人も少なくありません。外見にお金をかけていなければ自分の存在価値がなくなるといわんばかりに、自分磨きに必死になってしまいます。

もう一方は、まったくその逆です。外見へのコンプレックスを心の奥に押し込め、それに関連する物事すべてから目をそらすようになるのです。会社で注意されるほどだらしない身だしなみでもまったく直そうとしなかったり、ファッションに気を使っている人を見ると「ちゃらちゃらしている」「外見より中身を気にしなきゃ」などといったネガティブな感情が浮かんできてしまったり・・・・・・。

この2つのタイプは真反対に見えて、実は根っこは同じ。いずれも本当の問題から目をそらしているのです。容姿にコンプレックスを持っていることを正面から受け止めず、それを覆い隠すことに必死になるか、それをまったく見ないことにしてしまうかの違いでしかありません。

ネガティブな感情は、覆い隠したり心の奥に押し込めたりするほど、複雑で手に負えないモンスターのように存在が大きく膨らんでしまうもの。でも取り出してみれば、意外と手のひらに乗るほどのサイズしかないことも多いのです。

本当は何にコンプレックスを感じているのか。そのきっかけは何だったのか。心が痛む作業かもしれませんが、まずは真っ正面から見つめて、思い出してみましょう。そうすることで、次の解決策が見えてきます。

次の記事では、そんな容姿コンプレックスを解消するための具体的な方法についてお話ししていきましょう。
文/スタイリスト・服装心理カウンセラー 久野梨沙 (株式会社フォースタイル) 
久野 梨沙

執筆者
久野 梨沙(ひさの りさ)

パーソナルスタイリスト / 服装心理カウンセラー。( 社 )日本服装心理 学協会代表理事。服装心理学に基づくスタイリングの第一人者。大学 で認知心理学を研究した後、大手アパレルメーカーでの商品企画職を 経て個人向けスタイリストに。1 万件に上るスタイリング実績を元に、 精度の高いイメージコントロールをすることで定評がある。