882606_27597921人の心とファッションは、密接に結びついています。
気持ちが盛り上がれば、明るい色や華やかな柄物を着たくなったり、 その逆に、落ち込んでいるときは、自分を守るかのように、暗い色を着たくなったり。
映画にもなった有名な心理学の実験では、 被験者を集め、刑務所を舞台に、囚人役と看守役に分けて行動させたところ いつしか演技を超えて、 自然に囚人は囚人らしく、看守は看守らしく振る舞うことが報告されました。
ここでも重要な役割を果たしたのが服装。 囚人の服装を着ていることが、囚人らしくなることに拍車をかけるのです。
このような極端な例でなくても、 ビジネススーツに着替えると背筋が伸びたり、 休日出勤の際に私服で行くとなんとなく気持ちがリラックスしたままだったりといった 洋服による気持ちの変化を感じる機会は、日常生活にも多いはずです。

こういったファッションの心理的な効果を使って、 自分の気持ちや相手に与える印象をコントロールできるようになれば ファッションは、とても有効なツールになります。

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しかし、ファッションをツールとして使う前に、 まずは自分のファッションをよく観察することが大切です。

ファッションを心理学的にとらえるとき、 必ずしもおしゃれであることが良いことというわけではありません。
「身だしなみに気を使わなければ」という強迫観念に突き動かされて 自分の分相応な額以上に、洋服にお金を費やしてしまう状態は いくら着こなしがおしゃれだとしても、健全な状態とは言えません。
反対に、端から見たら「あの人、ちょっとは服装に気を使った方がいいのでは・・・」と 思われてしまうような身なりでも 本人はいたって幸せで、ファッションに何ら関心が向かない人もいます。
ファッション性の高さと、本人の幸せ度、満足度合いは別の話。
そう考えると、より冷静に自分のファッションを見直せるようになりませんか?

そんなフラットな視点に立ってから、考えてみて下さい。

もしまったく服装に関心がなく、それがなんとなくまずいような気がしているのなら なぜ、そういう気持ちになるのでしょう?
たくさんある服を捨てられないのはどうして?
おしゃれでないことに、嫌悪感を抱くのはなぜ?

そんな風に、自分のファッションとの付き合い方と、 その原因を探ってみることが ファッションと上手につきあっていくための第一歩です。

文/スタイリスト・服装心理カウンセラー 久野梨沙 (株式会社フォースタイル) 
久野 梨沙

執筆者
久野 梨沙(ひさの りさ)

パーソナルスタイリスト / 服装心理カウンセラー。( 社 )日本服装心理 学協会代表理事。服装心理学に基づくスタイリングの第一人者。大学 で認知心理学を研究した後、大手アパレルメーカーでの商品企画職を 経て個人向けスタイリストに。1 万件に上るスタイリング実績を元に、 精度の高いイメージコントロールをすることで定評がある。