前回の記事では、クローゼットの中につまった洋服が、あなたの内面を表していること、そしてその理由や事例をお話ししました。
今回からはいよいよ、ワードローブと性格・心理状態の関係性を具体的にお話ししていきます。

選ぶ色を見ればあなたの心理状態はまるわかり!

地味な色の服ばかり買ってしまう人の心理 色には、人間に特定のイメージを呼び起こす効果があります。たとえば赤はエネルギッシュなイメージ、青は知的なイメージ、緑は癒やしのイメージといったようにです。これを「色彩心理」と言います。

色彩心理は様々な場面で活用されています。たとえば、商品パッケージ。特に熾烈な争いだというコンビニの飲料品コーナーでは、各社が一目でその飲料の良さを表そうと、工夫を凝らしたカラーリングにしています。

また、企業のロゴマークや販促品に用いられるコーポレートカラーも、その企業の理念や思いを色彩心理に託して決定されています。

選ぶ色で自分の心理状態を把握し、さらに理想の心理状態へと導けるよう色にサポートしてもらうカラーセラピーも人気で、様々な流派が生まれています。

さて、ファッションの分野でももちろん色は重要視されています。ディスプレイを考えるとき、

  • そのディスプレイから8〜4mの距離に入ったら
  • 4〜2mの距離ではデザイン
  • 2〜1mの距離では素材

が目に入り、お店に入るかどうか、さらには購入するかどうかの決め手になると言われています。

つまり、色は最も遠くから人を引きつける力がある、ということ。

あなたがもし全く知らないお店で、外から何か気に入りそうな洋服を見つけて引き寄せられ、購入に至ったのであれば、それは色が決め手になったのだ、と言えるでしょう。

このように、洋服を買うときにも「色」というのはとても大きな影響を与えるものなのです。

あなたのワードローブにはどんな色が多いですか?

地味な色の服ばかり買ってしまう人の心理それでは、あなたの手持ちの洋服はどうでしょうか?
クローゼットの中を見て、その傾向を分析するときにはまずテーマを絞り込むことが大切ですが、「どんな色の洋服が多いか」というのは、一番初めに取り組んで頂きたい分析です。
水色、鮮やかな青、シックな紺・・・など、色調はいろいろあれど気づけば青系の服がとにかく多い!という風に、特定の色に偏ってしまっている人もいれば、いろいろな色があるけどどれもパステルカラー・・・という風に、色調になんらかの特徴がある人もいるでしょう。
しかし私が1000人以上のお客様のワードローブを拝見してきた中で最も多かったのは、白や黒、グレー、ベージュ、茶、ネイビーといったいわゆる「ベーシックカラー」がクローゼットの8割を占めるというタイプです。
そんなタイプのクローゼットの中は、はっきりいって地味です。
そして、似た色が多いために、1点1点引っ張り出してみてみないとどんな服なのか特徴がつかめません。

決して気分が明るくなるようなクローゼットではないと思いますし、お客様ご本人も「もっと他の色も着てみたいなぁ」と思っていらっしゃるものなのですが、それでも地味な色ばかり選んでしまうのにはやはりそれに何らかのメリットを感じているからです。

地味な色の一番わかりやすいメリットは、コーディネートをしやすい、ということでしょう。その色自体に主張がありませんので、どれをどう組み合わせてもおかしく見えることがありません。
洋服をコーディネートする際には、ただでさえ「この形とこの形は合うか」とか「何か素材がちぐはぐ」とか、色以外の要素でも悩んでしまいがちですから、せめて色くらいは合わせやすいものを、と考えてしまうのでしょう。
また、地味な色だけでコーディネートしておけば、当然のことながら悪目立ちすることはありません。たとえネイビーが自分に似合わなかったとしても、目立たなければ致命傷にはなりません。逆に、明るく目立つ色を買ってしまって、それが似合わなかったときの打撃を考えれば、地味な方がまだまし、というわけです。

これは「和」を重んじる日本人ならではの考え方とも言えるかもしれません。というのも、中国でアパレル事業に携わる知人に話を聞くと、中国では「赤」が一番売れる色だ、というのです。

中国では、赤は縁起の良い色とされています。例え似合わなくても、縁起の悪い服を着ているよりましだ、ということでしょう。

クローゼットが地味な色で埋め尽くされている人の心理

地味な色の服ばかり買ってしまう人の心理人の目につきやすいのは明るい色にも関わらず、地味な色ばかりを持っているということは、わざわざそればかりを選び取っているということです。
こういったタイプの方に共通するのは「人に気を遣う」「空気を読みすぎる」「自分を抑えて協調性を重んじる」という傾向です。
フォースタイルでは、スタイリングワードローブチェックなどをお受け頂く際、併せて内面テストを受けて頂いていますが、その結果が上記のような傾向を表す人のワードローブは、決まってベーシックカラーばかりなのです。

目立つくらいなら人の中に紛れていた方が良い。
TPOに合わない服装をしてしまって、周りから浮いてしまうのが怖い。
着たい服はあるけど、浮いてしまうくらいなら我慢する。

そんな考え方の人が多いのです。

自分の着たいものをずっと我慢したり抑えていると、いつしか「これを着たい」という気持ちも浮かばなくなってきます。そうすると、ますます何を買ったら良いのかわからなくなり、とりあえず無難な洋服を選んでしまう、という悪循環が生まれてきます。

かくして、クローゼットはベーシックカラーの海に・・・・・・。

ここから抜け出すためには、まずは「着たい色」を見つけること。そのためには、自分の好きなものや自分が「こうなりたい」と思う願望に敏感になる必要があります。

フォースタイルではカウンセリングの段階で、今の生活環境や外見への思いを細かくヒアリングしたり、雑誌を見てなんとなく良いと思うスタイリングを指し示して頂き、その傾向を分析することなどで、その願望を救い出していきますが、自分で自分の願望を再発見するためには、素敵だと思う周りの女性の洋服をチェックしたり、好きな雑誌のコーディネートを切り抜いてスクラップするとよいかもしれません。
まずは、表現したい「自分らしさ」を見つけることが、ベーシックカラー一辺倒のワードローブから抜け出す方法なのです。

ただし、ベーシックカラーだけのクローゼットを抱える人の中にも、こういった性格傾向とは真逆の人もいます。たとえて言うならば、黒いタートルネックニットとジーンズを着続けたスティーブ・ジョブズのようなタイプです。

このタイプは、決して目立ちたくないからそれを選んでいるのではありません。次回は、そんな「決まった服ばかり着てしまう」タイプのお話をしていきましょう。
文/スタイリスト・服装心理カウンセラー 久野梨沙 (株式会社フォースタイル)
久野 梨沙

執筆者
久野 梨沙(ひさの りさ)

パーソナルスタイリスト / 服装心理カウンセラー。( 社 )日本服装心理 学協会代表理事。服装心理学に基づくスタイリングの第一人者。大学 で認知心理学を研究した後、大手アパレルメーカーでの商品企画職を 経て個人向けスタイリストに。1 万件に上るスタイリング実績を元に、 精度の高いイメージコントロールをすることで定評がある。