スーツの印象を大きく左右する、ジャケットのシルエット

スーツのジャケットの選び方商談のときには、相手と向かい合って座っている場面が多いもの。
そんなときには、相手から見えているウエストから上の部分でいかに印象をコントロールするかが重要です。

そこで印象をわけるのがスーツのジャケット
早速、知っておきたいディテールの解説をしていきましょう。

まずは、ジャケットの形・・・つまり、「シルエット」についてです。
スーツの上着のシルエットには大きく分けて3つあります。

イギリス系スーツ/ブリティッシュトラッド

スーツの本場である英国で生まれたこのシルエットは、現在のすべてのスーツの原型です。
体のラインに沿ってウエスト部分が自然に細くなったシルエットや、肩パッドなどでもりあがった肩先が特徴。
かっちりとしたイメージになるシルエットです。

イタリア系スーツ/イタリアンクラシコ

伝統的なイギリス系のスーツの形に華やかさが加わった形が、このイタリアンクラシコです。
狭めの肩幅高めの位置で絞り込んだウエストが男の色気を強調します。
ドレープ感のある素材が使用されていることが多く、柔らかさがあり、華やかな雰囲気に。 おしゃれな印象の強いスーツの形だと覚えて下さい。

アメリカ系スーツ/アメリカントラッド

イギリス型スーツの窮屈さを解消し、動きやすさと機能性を追求したスタイル。合理性を追求するお国柄ならではのシルエットです。
自然な肩のシルエットと、直線的なウエストラインが特徴。
スポーティーな雰囲気を演出できます。

スーツのジャケットのシルエットの見分け方

3つのシルエットのわかりやすい見分け方は、まず、
アメリカントラッドは、自然に肩に沿うような形で、イタリアンはコンパクトな肩幅、ブリティッシュトラッドの肩先には張りがあります。

もう一つの見分け方は、ウエスト
アメリカはウエストの絞り込みがなくストンと落ちる形、イタリアンは高めのウエスト位置で絞り込まれ、ブリティッシュは腰の高さで絞り込まれています。

どのスタイルがいいかは、体型や職種、着る人のキャラクターによって異なりますが、まず自分に合ったシルエットを決めることが非常に重要ですから、お店で着比べて慎重に決めてください。

ジャケットの襟の形のせいで、スーツが古臭くみえることが!

シルエットも大事ですが、ジャケットの襟も、あらゆるスーツのパーツの中で顔に最も近く、また、スーツのクオリティが表れる重要な部分です。
その良し悪しの見分け方はのちほどで解説するとして、まずは用語の説明をしていきましょう。

ノッチド・ラペル

スーツの着こなし・選び方「ノッチドラペル」 スーツのジャケットの襟はくちばしのような形をしていますが、よく見ると首後ろを覆うようについている「上衿」と、その下についている「下衿」に分かれていることがわかります。この下衿の形によって、衿の種類が変わってきます。
このように下衿が下がっている形は「ノッチド・ラペル」と呼ばれます。「ラペル」とは衿のことです。

「ノッチド・ラペル」はごく一般的な衿の形で、シングル・スーツに多いタイプです。

ピークド・ラペル

スーツの着こなし・選び方「ピークドラペル」こちらは、下衿の先が尖っている「ピークド・ラペル」です。ドレッシーなタイプのスーツに多く、ビジネススーツでこの形のものは少ないでしょう。
まれにピークド・ラペルを持つビジネス用スーツもありますが、おしゃれ目的の意味合いも強く持たせたデザインであることが多いため、着るには職種や場所を選ぶデザインです。

セミピークドラペル

スーツの着こなし・選び方「セミピークドラペル」ピークドラペルの下衿の角度を少しだけ水平にカットした衿のことを「セミピークド・ラペル」と呼びます。
「ピークド・ラペル」に比べると華やかさが抑えられます。

ローリングダウン(段返り)ラペル

スーツの着こなし・選び方「ローリングダウン(段返り)ラペル」図だけを見ると、「ノッチド・ラペル」との違いがわかりにくいかもしれませんが、第一ボタンのボタンホールが折り返っているのが見て取れるでしょうか?こんなジャケットの衿のことを「ローリングダウン(段返り)ラペル」と呼びます。
「段返り3つボタン」といった言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、「段返り」というのはこの衿の形を指しています。

この衿の場合には、第1ボタンはあくまで飾りです。
それを知らずにむりやりボタンを留めてしまうと、変なしわがよったり、シルエットが崩れたりしてしまいますので注意しましょう。

ジャケットの衿は形だけでなく、幅とゴージラインの高さも重要!

スーツの印象に影響するのは、こういった衿の形だけではありません。
その幅の広さや、ゴージライン(上衿と下衿の縫い合わせ線)の高さなどもとても重要です。

実は、衿の形は流行が表れやすい部分です。

たとえば、80年代のバブル時代のスーツを振り返ってみると、衿の幅は非常に太くなっていました。「衿の幅と景気の良さは比例する」とも言われていて、確かにバブルがはじけた後、90年代半ば〜00年代のスーツは衿も非常に細身のものが主流となっていました。

それでは、今の衿(ラペル)の幅の主流は・・・?というと、8.5cm程度。
ちなみに、衿の幅は、下衿の一番尖っているところを起点に、定規(メジャー)を地面に平行になるようにして当てて測ります。お店でスーツを見ているときには、店員さんに尋ねればすぐ教えてくれるはずです。

また、ゴージラインも、時代によって上下します。バブル時代はかなり低かったのですが、今はシャツの衿の真ん中くらいの高さにゴージラインが位置するのが主流。

もし長年着ているスーツがお手元にあれば、今店頭に並んでいるスーツや雑誌に載っているスーツと襟の形を比べるなどして、流行遅れになっていないかどうかチェックすることをおすすめします。

体型に合わせて選びたい、スーツのジャケットのボタンの数

さて、スーツのジャケットはボタンの数もばらつきがありますが、どれを選べば良いかは、自分の体型に合わせるとよいでしょう。

2つボタンのジャケット=2Bジャケット

スーツの着こなし・選び方「2つボタンジャケット」 今、一番主流なのがこのタイプです。
ボタンが2つしかないため、自然とVゾーンの開きが深くなります。
そのため、痩せた方が着ると貧弱に見えてしまうことがあります。比較的胸板ががっちりしている人の方が向いています。
ちなみに、2つボタンのジャケットのことを「2Bジャケット」と表記しますので、覚えておくとお店で探すときに便利です。

3つボタンのジャケット=3Bジャケット

スーツの着こなし・選び方「3つボタンジャケット」ボタンが3つになりますので、Vゾーンの開きが狭くなります。ボタンは全部留めずに、上2つか真ん中だけ留めます。
痩せている人は、一般的にはこちらを選んだほうが似合います。一方、がっしりした人が3Bジャケットを着ると、窮屈な印象になりがち。

3つボタン段返りジャケット=3B段返りジャケット

スーツの着こなし・選び方「段返り3つボタンジャケット」衿のパートでご説明した「段返り」です。ボタンは3つついているものの、一番上は飾りになりますので比較的Vゾーンは広くあきます。
ただ、衿の折り返しの部分が寄り立体的になりますので、華奢な人でも立体感が生まれやすく、幅広い体型に合わせやすいデザインと言えるでしょう。

ジャケットの前合わせは、ダブルが復活してきました

シングル・ブレスト

スーツの着こなし・選び方「シングル・ブレスト」ビジネスで着るスーツでは、通常この画像のようにボタンが縦1列に並んだデザインが主流です。

これを「シングル・ブレスト」と呼びます。一般的には「シングルジャケット」という風に略して呼ばれます。

ダブル・ブレスト

スーツの着こなし・選び方「ダブル・ブレスト」こちらのように、ジャケットの前打ち合わせが深く重なっていてボタンが2列にならんでいるものを「ダブル・ブレスト」と呼びます。よりドレッシーな印象なので、フォーマルな場面や、また役職が高い方が着るとハマります。

ただ、このところこのダブル・ブレストをカジュアルに着るのも流行っており、着こなしやすい細身のデザインも増えています。おしゃれに見せたいときには挑戦してみるとよいでしょう。

こちらも、一般的には「ダブルジャケット」と略して呼ばれます。

 

さて、延々と用語が並びましたが、いかがでしたでしょうか? これらの知識はあなたのスーツを選ぶ審美眼の礎となるものですので、ぜひ頭に入れておいてくださいね。

次の記事では、スーツの上着を選ぶときの注意事項について解説します。

文/スタイリスト・服装心理カウンセラー 久野梨沙 (株式会社フォースタイル) 
久野 梨沙

執筆者
久野 梨沙(ひさの りさ)

パーソナルスタイリスト / 服装心理カウンセラー。( 社 )日本服装心理 学協会代表理事。服装心理学に基づくスタイリングの第一人者。大学 で認知心理学を研究した後、大手アパレルメーカーでの商品企画職を 経て個人向けスタイリストに。1 万件に上るスタイリング実績を元に、 精度の高いイメージコントロールをすることで定評がある。